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スマートウォッチの衝撃検知とは~消防から見た社会的な課題~

執筆者:現役消防職員(消防隊長歴任)|非常時の経験を日常に活かす防災知識を発信中

 

アップルウォッチなどのスマートウォッチには衝撃検知通報機能が搭載されています。
これはユーザーが転倒や衝撃を受けた際に自動で異常を検知し、指定した連絡先や消防機関に連絡する機能です。
近年、高齢者の見守りやアウトドア・一人暮らしの安全対策として関心が高まっています。

 

衝撃検知通報機能は加速度センサーやジャイロセンサーを利用しています。
通常の腕の動きと異なる強い衝撃や不自然な動きを感知、転倒や事故の可能性が高いと判断した場合に、自動で通報プロセスに移行します。

 

この機能では基本的に衝撃を感知してから通報を行う前に、まずユーザーに警告を表示します。
これは誤検知を避けるためで、定められた時間内にユーザーが操作を行えば通報されることはありません。
逆に一定時間内に応答がない場合、設定された緊急連絡先に連絡されます。


通報にはGPSの位置情報が付加されるため、高い精度で発生地点を特定して現場に向かうことができるようになっています。

 

現場での肌感覚として、この機能が役立った事例を目にすることがあります。
例えばバイクでの交通事故に遭った際に迅速な通報が行われ発生位置の特定も速やかだったケースや、高齢者が自宅で転倒した際に家族に通知が届き、迅速に安否確認ができたというケースがありました。
他にも山歩き中に滑落して動けなくなったユーザーが、自動通報により救助につながった事案も耳にしました。

 

ただし、好例がある一方で深刻な課題もあります。
特に「衝撃を誤って事故だと認識したことによる通報で、現場に駆け付けたものの助けを求める人がいなかった」というケースは非常に多く、今後も同様の事例は増加し続けることが見込まれます。

 

過去の記事でも触れたように、救急車の出場件数は増加の一途をたどっており、その助けを必要とする人のところに速やかに医療を届けられなくなることが危惧されています。

raisethestandard.hatenablog.jp


そんな中で、こうした誤った通報に限られた医療資源が費やされるのは非常にもったいないことです。

 

衝撃検知通報はユーザーにとっていざという時の身の安全に寄与する便利な機能です。
ただ、誤った通報につながることも多いので、


・事前の警告の時点で通報の必要がなければキャンセル操作を行うこと


・自動通報が行われたことに後で気が付いた場合には、改めて119番をして駆けつける必要がないと伝えること

 

に気を付けていただけると幸いです。

総務省消防庁より

 


執筆者
現役消防職員・hyakk

現場の最前線で培った「命を守る知恵」を、日常に活かせる形でお伝えしています。 自治体、企業、学校等でのボランティア講演(首都圏内)も承っております。

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hyakk(30代・現役消防職員・防災士)