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花火大会の危険と対策~安全に楽しむためのガイド~

執筆者:現役消防職員(消防隊長・人事マネージャー歴任)|非常時の経験を日常に活かす防災知識を発信中

 

夏の夜空を彩る大輪の花。その華やかさの裏側には、火薬を扱うがゆえの火災リスクや、数万人規模の移動が引き起こす群衆事故が常に隣り合わせです。安全に楽しむための「消防の視点」を解説します。

 

花火大会の危険と対策~安全に楽しむためのガイド~

 

【消防の現場視点で、まず結論をお伝えします】

花火大会の安全は、主催者側の事前放水や警備体制と、観客の正しい知識の掛け合わせで成り立っています。地面に落ちた不発弾(黒玉)には絶対に触れないこと。そして、終了直後の一斉移動が最も危険であることを自覚してください。ピークをずらして動く、あるいは誘導に従うという小さな余裕が、あなたや大切な人の命を守る最大の防御策となります。

 

夏の夜を彩る花火大会は、多くの人が心待ちにするイベントです。

コロナ禍で実施が見送られていた地域でも、再び開催に向けての歩みを進めて、長い歴史を紡いでいるところが数多くあります。

 

しかし、花火大会の美しさの裏には、いくつかの重大な危険が潜んでいます。

今回は、花火大会で特に注意すべきことに焦点を当て、その危険性と、それに対する消防などの対策についてご紹介します。

 


1. 落ちている花火「黒玉」の恐怖

まず最も代表的な危険が「黒玉」と呼ばれる不発弾です。

これは、打ち上げられたにもかかわらず、空中で破裂せずに落下してしまった花火のことを指します。

 

カナロコより

 

外見ではただの筒や玉ねぎのように見えても、内部には火薬が残っているため、非常に危険です。

時間が経ってから突然爆発することもあり、過去には不発花火を拾ってけがをした事故も報告されています。

 

会場内では、もし花火が落ちているのを見つけても、絶対に近づかず、すぐに係員に知らせるようにしましょう。

 


2. 演出に潜む「延焼」のリスク

次に注意したいのが、近年増えている「ナイアガラ花火」の着火による火災の危険です。

 


ナイアガラとは、長いワイヤーなどに火薬を吊るして、滝のように火花が流れ落ちる演出ですが、その火花が下草などに着火することがあります。

 

特に風が強い日には、火の粉が想定外の方向へ飛ぶため、思わぬ場所で火災が発生する恐れもあります。

 


3. 最も警戒すべき「群衆雪崩」の連鎖

そして、もうひとつの危険が「群衆雪崩」です。

raisethestandard.hatenablog.jp

 

平成13年に明石市の花火大会で発生した事故は世間に大きな衝撃を与えました。

これは、花火の打ち上げが終了した直後などに、大勢の人が一斉に移動することで発生する事故です。

 

ちょっとした転倒が連鎖的に周囲を巻き込み、大きな混乱やけがにつながるおそれがあります。

 

特に駅や橋の上、また群衆の中にエスカレーターにより人が送られ続けてさらに行き場がなくなるなど、スペースが限られるシーンで圧迫感が強まり、逃げ場が失われることがあります。

係員の誘導に従い、無理に進まず、周囲との距離を保ちながら行動することが大切です。

 


4. 安心を支える「消防」の予防と備え

こうした火災や事故を防ぐために、消防や主催者側ではさまざまな対策を講じています。

花火の設置前には、ナイアガラの下や周辺に水を撒く「事前放水」が行われます。これは地面や草木を湿らせ、火が燃え広がらないようにするための重要な予防措置です。

 

また、花火師の近くには常に消火器や消火用バケツが配置されており、会場には多数の消防隊員が待機して万が一に備えています。こうした備えがあってこそ、安心して楽しめる環境が整います。

 


美しい夜空の芸術の裏には、危険と隣り合わせの現実があります。観覧する私たちも、そのことを理解し、ルールを守って安全に楽しむことが大切です。

今年の夏も、心に残る花火大会を楽しめますように。

 

【まとめ】
花火大会を安全に終える鍵は、「不発弾に触れない」「火気周辺に近づかない」という基本的なルールに加え、帰宅時の群衆への意識にあります。主催者側が事前放水や消火体制を完璧に整えていても、一瞬の不注意やパニックが大きな事故を招きます。夜空の美しさを堪能した後は、少し時間を置いてから動く心のゆとりを持つ。それこそが、命を守るマナーです。


執筆者
現役消防職員・hyakk

現場の最前線で培った「命を守る知恵」を、日常に活かせる形でお伝えしています。 自治体、企業、学校等でのボランティア講演(首都圏内)も承っております。

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このサイトの運営者・執筆責任者

hyakk(30代・現役消防職員・防災士)